水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】 午前27時のLove Letter

 

目が合った瞬間(とき)をぼくらは忘れてる波打ち際で鳴るファンファーレ

 

誤字すらも可愛い君のmailから感染したい どうせ飛ぶなら

 

ぼくたちの痛さ苦さも溶けてゆき溢れて海は永遠になる

 

吊り橋の上でぼくらは遥かなる波に呑まれぬように離れた

 

百億年のちの宇宙へ歌を産もう このまま君を滅ぼす前に

 

詩歌とは、媚薬。あなたのたましいの翼となって虚空に果てる

 

太陽系焼き尽くすほど恋してた惑星ぜんぶ道連れにして

 

いつまでもそのままでいて双子星(ポルックス)あなたの息が光跡になる

 

出逢いからさよならまでの記録(レコード)を空の写真で上書きしてる

 

文字が絶え言葉が亡び果てるともぼくらの歌は廻(めぐ)りつづける

 

 

 

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