水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【断章】言葉よりも切実な言葉を

詩よりもずっと痛切な詩を言葉よりももっと切実な言葉を私は求めつづけていた ペン先が掠れ見えない文字を刻みつける紙の音その紙の窪みにかろうじて掬われる痛み 痛みだけが確かにあってその痛みによって生かされる命があるということをあなたはやがて知る…

【連作短歌】ヘモグロビンが足りなくなる日

鮮血がほとばしる日を(おだいじに)鉄の錠剤しろく煌めく 赤血球白血球をかぞえたら私の肺に吹くあかい風 いつもより賑やかに鳴る鼓笛隊むねに抱えてのぼる階段 血を流しまた血を流し残された血が体内をまためぐりゆく 子宮から剥がれ落ちた血は裏側でいつ…