水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【断章】 世界は愛で充たされている

私はこの手に愛を握りしめて 生まれたいたるところに愛はころがっていた 窓と窓の透き間に鳥と風のあいだに一本の樹と私の出逢いに星と星のあわいに愛はころがっていた 何もない空間でさえ愛が充ちあふれていた 憎しみの渦も涯のない孤独も終わりのないたた…

【連作短歌】ありふれた夜のために

「生まれてこなければよかった」と叫ぶすべての魂に、この連作を捧げます。 新月の闇から闇へ谺(こだま)する無邪気な夢魔の宣戦布告 まなうらの水晶宮の奥深く誰もが孤独な王となる夜 眠ってる星の記憶を辿りつつわたしを使役する電子音 星と星ゆき逢う宙…