水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【連作短歌】沈みゆく春に

花びらにひらりひらりとウイルスを宿しいのちを削る桜よ 恋じゃない恋じゃないけどこんなにも掻き乱される見えない君に 綻びてゆくシステムは日常の息の根をゆるやかに縛って 春の陽を感じていよう咳をしただけで独りになる車両でも 祈るように手を洗いつつ…

【連作短歌】 午前27時のLove Letter

目が合った瞬間(とき)をぼくらは忘れてる波打ち際で鳴るファンファーレ 誤字すらも可愛い君のmailから感染したい どうせ飛ぶなら ぼくたちの痛さ苦さも溶けてゆき溢れて海は永遠になる 吊り橋の上でぼくらは遥かなる波に呑まれぬように離れた 百億年のちの…