水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】惑星システム21

 

ゆびさきで触れた位置からじりじりと歪みはじめる世界の喘ぎ

 

奇跡から放り出されて着地した砂浜のすな すこしつめたい

 

どんな夢も打ち切りにあうそのときのために集めた銀貨をつかう

 

この惑星(ほし)の軌道がゆらりずれてゆく出逢い損ねた二人のために

 

たましいをぜんぶあずけて次の世の朝がくるのを見つめていたい

 

地下深く水を浄める小人たち水の濁りを濾過しきれずに

 

無意識の海に産まれたアメーバが邪念雑念食い散らしつつ

 

札束が紙屑になる日が来ても来なくてもシステムは続くよ

 

 

 

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