水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【断章】壊れた世界

この世界が壊れた場所だということを
私はとうに知っていた

だから 世界が音を立てて崩れてゆくのを目にしても
(ああ、こういうこと、前にもあったな・・・)
と どこか懐かしいような気さえしてしまう

そう
どこか懐かしい
壊れた世界

そもそも世界が壊れていなかったことなんて
あっただろうか
もうずっとずっと前から
世界は壊れていたんじゃないか
ただ それを見てしまう者と 見ようとしない者がいるだけだ

だから私は この壊れのただなかに佇もう

壊れた世界に生きる
残された生を

 

 

 

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