水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

2019-01-01から1年間の記事一覧

2016年後半の短歌

宿題を残したままで夏暮れて霧の向こうにあるはずの湖(うみ) 懐かしい玩具(おもちゃ)の声に微睡んで退化してゆくぼくらに繭を 古代都市遺跡にあそぶ縞猫の尾にきざまれた裏クロニクル * * * 秋三首。 運命は低いところが好きだから転がってゆくドング…

【短歌】小さな手紙 2

すずやかな銀杏並木が黄水晶(シトリン)のしずくを散らすあきかぜの道 Twitterで交流のあった、あきかぜさんに。 * * * ◯人名折句 水に舞う瑞鳥の羽(はね)はろばろと来世を照らせ紫苑いろの灯(ひ)よ 背中には翔べないままの泣きそうな翼があった こ…

2016年前半の短歌

Twitterとは。 挨拶も交わさず星を贈り合うのが今日のコミュニケーション つぶやきが君のアンテナ掠ったら黙って星を光らせなさい ソーシャルな愛を安売りしたくないぼくらに星を返してほしい 液晶の窓に浮かんだ文字だけの弱い絆がぼくらのすべて * * * …

2015年頃の短歌

詩をくれた君に常套句(クリシェ)を返すしかできないことが悔しくて今 風に薫る言葉を摘んで花束にして君に捧げる愛の歌 * * * 風の筆が雲の模様を描き出す空のキャンバスどこまでも青 * * * ネット炎上。 正しさを求め続ける蟲たちが集う電脳異端審…