水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】言葉を殺す

 

こころにもない音ばかり瞬いて今夜しずかに言葉を殺す

 

腐敗した肉の獣に正装を着せてきらきらさざめく思考

 

諦めたあとの優しい沈黙が未明の白を閉ざしつづける

 

生きている人をどこまで愛せるか問うように日は朝をはじめる

 

血みどろの語彙をあつめて血まみれの隻語をつづる炎天の乱

 

飛語による陵辱、雅語による差別 昏れゆく国を生きるわれらに

 

枯れてゆく言葉を誰に手向けよう  みどりのゆびをもつきみの手へ

 

 

 

note.com