2014年の短歌
赤銅(あかがね)の月に追われて異界への扉をひらく蝕(エクリプス)の夜
深淵を覗いた罪で深淵に呑み込まれてゆく 私は宇宙
樹のみどり草の緑にみずうみの碧をあつめてすべてを青に
海色の街を漂う 透明な水母(くらげ)みたいに傘をひろげて
乙女回路を持つ者だけが秘めやかに目配せをする夜の薔薇園
薔薇のみに生きる乙女は朝食のパンを小鳩に与えて眠る
夢の中でしか会えないひとだからあの星へ行こうふたり夢の中
果てしない銀河荒野にふたりきり燃えゆく星の歴史を見ている
複雑な回路を通じてあらわれる君のmailは解読困難
暗号のような手紙を空に撃つあなたの指は近くて遠い
唄うようなリズムでシステム壊したい 海と大地もともに歌うよ
オタ女子はあまねく世界を掛け算で読み替えて立つフェミテロリスト
いつかまた二人の道が交差する未来(とき)を信じて風に別れを
☆参照: http://newmoon555.jugem.jp/?eid=449
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◯折句「つきのひかり」
追憶の傷に触れる書ノンブルが光になって弾けて消える
つながった君の聲(こえ)から野うさぎが光のほうへ跳びはねていく
貫いた狂気の果ての残り火を光の消えた廃墟に灯す
継ぎはぎの狂騒曲が呪われた光を放ちつつ駆け抜ける
☆参照: http://newmoon555.jugem.jp/?eid=451
【短歌】「かばん」4月号
追憶の傷に触れる書ノンブルが光になって弾けて消える
貫いた狂気の果ての残り火を光の消えた廃墟に灯す
溜め息がきこえる距離でそれぞれの宇宙に繋がる液晶の窓
暗号のような手紙を空に撃つあなたの指は近くて遠い
帽子から次々跳び出す鳩や花、リボンのように語りあいたい
メロディになりそこなった雨音を拾いあつめて降るラグタイム
みぎひだり、上と下とに分かたれた地球はもっと丸くなるべき
冥闇(くらやみ)の淵に彫られた傷痕が花になる日を待ち焦がれてる
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4月から同人誌「かばん」に入会しました。
急いで短歌8首を用意しなければならなかったので、とりあえず過去の自作短歌から、わりと気に入っているものを選んで投稿。
「繋がる」は、正しくは「繫がる」なのですが、文字化け防止のため、止むを得ず。
「短歌は縦書きの方が見栄えがいい」などとよく言われますが……どうなんだろう?
【短歌】小さな手紙
「小さな手紙」
桜餅の葉にふくまれた塩分が朝(あした)わたしの涙にかわる
ノラ猫に生まれかわって来世では煮干しが泳ぐ海辺で暮らそう
薄闇の底に光はしらしらとあなたの石を照らしはじめる
家じゅうを探しまわって見つからず開けた窓から来る青い鳥
冬の日のこころの淵につもる雪 月には月の道があるから
絹さやのすじを引きつつきららかな翠(みどり)の風をわたしに招く
渡り鳥のように世界を翔けめぐる未来の文字も雨に滲みるか
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上記の短歌は、「月ノヒカリ」名義で2009年から運営してきたブログに、固定ハンドルネームでコメントくださった方のお名前を詠み込んだものです。
※参照:【短歌】小さな手紙 ――読者の皆さんへ(身近な一歩が社会を変える♪)
はじめに
都樹野(つきの)ひかり→瑞木理央(みずき・りお)とペンネームを変えました。
「月ノヒカリ」というHNで、2009年から「身近な一歩が社会を変える♪」というブログを運営してきました。より個人的なプロフィールはそちらで。
2014年秋頃から、短歌を作ってTwitterに投稿してきました。
過去の自作短歌については、上記ブログの「短歌」カテゴリに入ってます。
2017年3月から、自作短歌の発表の場として、当ブログを開設しました。
短歌を作ってる人にも、短歌に馴染みのない人にも、読んでもらえる場にしたいです。
溜め息がきこえる距離でそれぞれの宇宙に繋がる液晶の窓
よろしくお願いします。