水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【断章】 世界は愛で充たされている

私はこの手に
愛を握りしめて 生まれた
いたるところに
愛はころがっていた 

窓と窓の透き間に
鳥と風のあいだに
一本の樹と私の出逢いに
星と星のあわいに
愛はころがっていた

何もない空間でさえ
愛が充ちあふれていた

憎しみの渦も
涯のない孤独も
終わりのないたたかいも
この世に巣食う
ありとあらゆる痛みやくるしみも
私から愛を持ち去ることはできなかった

世界は愛で充たされている
だから私は
ただ レンズを磨くだけでよかったのだ

 

 

 

note.com