水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】月のマイルストーン

 

穢された月の記憶がよぎる空、あなたの嘘を曝くさきぶれ

 

語れない罪を負うひと月の夜はつきのひかりにさえ怯えつつ

 

なまぬるい外気に触れて ささくれた言葉にバンドエイドを巻いて

 

ただひとりの闘いひとつ終えるたび拡がってゆくかなしみの染み

 

弱くあることがさらなる自由へとつづく道には花だけがある

 

振り返りふりかえり咲く幾重もの花びらの紋、砂に託して

 

印影のようにあしあと刻みつつマイルストーンを跳び越えてゆく

 

ユートピアまで何マイル? 振り向けば運命だけが見送っていた

 

 

 

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