水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】cyberspace 2017→2016

 

甘やかなサイバーテロの標的になったVOCALOID(ボカロ)を巡る文字列

 

私の内部のある種の回路がすり減ってゆく剥き出しの視線の下で

 

「悪の側(がわ)に立つ」ときこえた電磁波にまぎれて声はすこし掠れて

 

天上の窓から文字が降りそそぎ それがぼくらの祝祭だった

 

監視下の L 0  <    ə        は螽に燃やされて火群(ほむら)となって夜を彩る

 

野の鳥が文字とリズムを切り裂いて比喩をついばむ歌の風葬

 

法律も医者も見棄てた妄想を擁(いだ)いて肥ゆる電脳の海

 

半身を無法地帯に配置して私は私の法に従う

 

 

 

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