水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【連作短歌】交換/交感/交歓

 

液晶の窓をひらいてこの国にひしめく鳥の囀りをきく

 

現実(リアル)では出逢えなかった君や君と不意につながる文字列(テクスト)の波

 

暗号を解く鍵もまた暗号で送るしかなくて捩(もじ)れる文字が

 

チューナーを君の周波に合わせたら ぼくはいま変声期のVOC@LOID(ボカロ)

 

世を憂う君の本気のラブレター賞味期限はわずか一日

 

閉ざされた文字列(テクスト)の交換でしか通じ合えないぼくらの回路

 

きょうはずっと寝ていたいから恋人の電源を切る すっごい便利

 

壊れてる ぼくたちみんな壊れてる なんてすてきな終末の夜

 

 

 

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