水の領域

瑞木理央(みずき・りお)の短歌と詩

【短歌】「かばん」4月号

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 追憶の傷に触れる書ノンブルが光になって弾けて消える


 貫いた狂気の果ての残り火を光の消えた廃墟に灯す


 溜め息がきこえる距離でそれぞれの宇宙に繋がる液晶の窓


 暗号のような手紙を空に撃つあなたの指は近くて遠い


 帽子から次々跳び出す鳩や花、リボンのように語りあいたい


 メロディになりそこなった雨音を拾いあつめて降るラグタイム


 みぎひだり、上と下とに分かたれた地球はもっと丸くなるべき


 冥闇(くらやみ)の淵に彫られた傷痕が花になる日を待ち焦がれてる

 

 ーー ☆ ーー ☆ ーー ☆ ーー ☆ ーー ☆

 

4月から同人誌「かばん」に入会しました。

急いで短歌8首を用意しなければならなかったので、とりあえず過去の自作短歌から、わりと気に入っているものを選んで投稿。

「繋がる」は、正しくは「繫がる」なのですが、文字化け防止のため、止むを得ず。

「短歌は縦書きの方が見栄えがいい」などとよく言われますが……どうなんだろう?